役員変更登記に関する注意点
1.代表取締役等の辞任の登記
代表取締役である取締役(印鑑提出者に限る。)の辞任届には、その代表取締役の個人実印の押印(市区町村長作成の印鑑証明書添付)又は登記所届出印の押印が必要となります。
代表取締役等(登記所に印鑑を提出した方)の辞任による変更の登記の申請書には、その代表取締役等の個人実印が押された辞任届とその印鑑証明書を添付するか、その代表取締役等の登記所届出印が押された辞任届を添付する必要があります。
なお、「印鑑提出者」とは、いわゆる会社実印を法務局に届け出ており、会社の印鑑証明書が発行される代表取締役のことです。
複数の代表取締役がいる場合に、「印鑑提出者」以外の代表取締役が辞任するときは、これらの手続は必要ではありませんが、後日の紛争を防ぐためにも、意思確認のため、個人実印等で押印してもらい、印鑑証明書を提出して頂くのが良いと思われます。
2.代表取締役等の住所変更登記
有限会社の取締役、株式会社の代表取締役は、住所が登記事項になっています。
住所を移転した場合は、変更登記の必要があります。
確認のため、住民票をご用意頂きます。
代表取締役のご自宅を本店所在地にされている会社さんも多いですが、ご自宅を引っ越され、本店が移転する場合には、代表取締役の住所も漏れなく変更するよう、注意が必要です。
3.取締役・監査役の氏名変更登記
取締役、監査役は、氏名が登記事項になっていますので、婚姻などで氏名が変わった場合は、変更登記の必要があります。
確認のため、氏名が変わったことが分かる、戸籍抄本をご用意頂きます。
4.定款又は会社法上の役員の員数を欠く場合
役員の解任、死亡ではなく、役員が辞任又は任期満了によって退任した場合で、定款又は会社法上の役員の員数を欠く場合には、その後任者が選任され、就任を承諾するまでは、前任者が役員としての権利義務を会社法上負うことになりますので、前任者の退任登記と後任者の就任登記を同時にしないと登記が実行されません(346条・351条)。
ちなみに、取締役会設置会社については、原則、取締役3名以上、監査役1名以上を置く必要があります(331条1項4号)。
5.監査役設置の廃止
監査役設置会社が、監査役設置に関する定款の定めを削除すると監査役が当然に退任します。
6.取締役の任期
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則です(会社法332条1項)。
但し、株式譲渡制限会社は、定款によっての任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(会社法332条2項)。
7.監査役の任期
監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則です(会社法336条1項)。
但し、株式譲渡制限会社(非公開会社)は、定款によっての任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(会社法336条2項)。
役員変更登記に関わる手続きに関して詳しくはこちら
- 役員変更登記とは
- 役員変更登記の必要性
- 役員変更登記の手続きの流れ
- 役員変更登記に関する注意点
- 役員を減らして、取締役会、監査役を廃止したい株式会社様へ
- 役員任期伸長手続きについて
- 役員変更登記の必要書類
- 役員変更登記の費用